George Harrison: Between the Devil and the Deep Blue Sea
村上RADIO 〜RUN&SONGS〜 で流れた音楽たち、
7曲目はジョージ・ハリスンの『Between the Devil and the Deep Blue Sea』。
ジョージ・ハリスン、
12枚目であり最後のスタジオ・アルバム『Brainwashed』収録曲。
ハリスンが2001年に58歳で亡くなって1年後、
前作の『Cloud Nine』から15年後の2002年リリースされた遺作。
没後にプロデューサーのジェフ・リンとセッション・ドラマーのジム・ケルトナー、
ハリスンの息子ダーニ・ハリスンが完成させている。
この曲は、
アルバムの中では唯一のカヴァー曲。
カヴァーではあるけれど、
いかにもジョージ・ハリスンという感じでとても良い。
Original by Cab Calloway
この曲を書いたのは、
作曲ハロルド・アーレンと作詞テッド・ケーラー。
最初は1931年コットン・クラブのレヴュー『Rhythmania』で、
アイダ・ウォードが唄っている。
ただ初めてこの曲を吹き込んだのは、
同じ1931年のキャブ・キャロウェイ。
Track | Title | Performer | Written by |
A | Between the Devil and the Deep Blue Sea | Cab Calloway | Harold Arlen, Ted Koehler |
B | Kickin’ The Gong Around | Cab Calloway | Harold Arlen, Ted Koehler |
I don’t want you
―Harold Arlen, Ted Koehler – Between The Devil And The Deep Blue Sea
But I hate to lose you
You got me in between the devil and the deep blue sea…
別にボクはキミを欲してないんだけど
ナゼか離れられないんだよな
キミはボクを絶体絶命に追い込むんだ…
浮気が発覚した相手と別れたいんだけど、
未練があるから別れられないどうしたらいいのさという内容。
このタイトルの『Between The Devil And The Deep Blue Sea』は、
直訳すれば『悪魔と紺碧の海のあいだ』となる。
前には悪魔がいるし後ろには深い海があるしというわけで
邦題は『絶対絶命』となっている。
慣用句で『進退窮まる』とか『絶体絶命』という意味があるわけで、
まあ絶体絶命のわりに曲は至って明るい。
PVではハリスンがウクレレを弾きながら唄っているんだけど、
これが何とも良い感じなのだ。
Cover by Blossom Dearie
この曲のカヴァーとなると、
いろいろあるけどブロッサム・ディアリーはやはりいつ聴いても良い。
ディアリーがヴァーヴ・レコードに録音した、
6枚のアルバムのうちの2枚目。
1958年、
『Give Him The Ooh-La-La』の収録曲。
この人のこの声でこの歌を唄われちゃうと、
悪いわけがない。
Cover by Thelonious Monk
セロニアス・モンクも、
この曲をカヴァーしている。
1967年のアルバム、
『Straight, No Chaser』の収録曲。
いかにモンクという感じの崩し方は、
本当にクセになる。
Cover by Helen Ward with Benny Goodman Orchestra
1930年代にベニー・グッドマン楽団のバンド・シンガーとして一世を風靡した、
ヘレン・ウォードの声も唄い方もやはり良い。
このカヴァーは1939年、
B面の『Christopher Columbus』と共にリリースされた10″, 78 RPM。
おまけ
ジョージ・ハリスンが、
何故この曲をカヴァーしたのかはわからない。
ただ実はそれ以前にも、
他の古い曲を吹き込んだりしている。
It’s Johnny’s Birthday
これはさほど古くないし、
ただカヴァーしたわけではない。
ジョンの30歳の誕生日を記念した曲で、
1970年のアルバム『All Things Must Pass』の収録曲『It’s Johnny’s Birthday』。
これは、
クリフ・リチャード1968年の『Congraturations』を基にしている。
元うたを書いたのは、
ビル・マーティンとフィル・コールター。
最初クレジットはハリスンだけだったけど、
著作権使用料の申し立てでクレジットされるようになっている。
Bye Bye Love
1974年の『Dark Horse』では、
エヴァリー・ブラザース1957年の『Bye Bye Love』をカヴァー。
書いたのは、
フェリーチェとブードロー・ブライアント。
それにハリスンが、
詞を少し加えて異なるメロディーラインを書いている。
歌詞は妻のパティ・ボイドが、
友人のエリック・クラプトンの元へ去ったことに触れたもの。
True Love
1976年のアルバム『Thirty Three & 1⁄3 』では、
コール・ポーターが書いた『True Love』を取り上げている。
元々は1940年の映画『The Philadelphia Story』のミュージカル版、
1956年の『High Society』の為の曲。
ビング・クロスビーと、
モナコ公妃になる前の現役最後の映画出演グレース・ケリーのデュエットが最初の吹き込み。
最初のリリースは、
同じ1956年のキティ・カレン。
Hong Kong Blues / Baltimore Oriole
ジョンが亡くなった年、
1981年にリリースされた『Somewhere In England』では2曲。
ホギー・カーマイケルの書いた『Baltimore Oriole』と、
『Hong Kong Blues』を吹き込んでいる。
先ず『Baltimore Oriole』は、
1944年の映画『To Have and Have Not』で流れていた曲で1946年にリリースされている。
ハンフリー・ボガード主演、
ローレン・バコールのデヴュー作だね。
もう1曲の『Hong Kong Blues』の方は、
1938年ホギー・カーマイケルとペリー ボトキン楽団のリリースが最初。
この曲も、
同じ映画『To Have and Have Not』で使われている。
I Really Love You
1982年のアルバム『Gone Troppo』では、
ザ・ステレオス1961年のシングル『I Really Love You』をカヴァー。
曲を書いたのは、
リロイ・スウェアリンジェン。
Got My Mind Set on You
1987年の『Cloud Nine』では、
1962年にジェームズ・レイがリリースした『I’ve Got My Mind Set on You』をカヴァー。
書いたのは、
ルディ・クラーク。
アメリカでヒットしたハリスンの3枚のシングルのうち、
唯一ハリスン自身が作詞・作曲していない曲。
Billboard Hot 100で1位、
イギリスのシングル・チャートでも1位のヒットとなる。
Between the Devil and the Deep Blue Sea 関連Playlist
それじゃあ最後に、
番組で流れた『Between the Devil and the Deep Blue Sea』と関連曲プレイリストを最後に。
20曲、
60分02秒。
01 George Harrison: Between the Devil and the Deep Blue Sea
02 Cab Calloway: Between the Devil and the Deep Blue Sea
03 Blossom Dearie: Between the Devil and the Deep Blue Sea
04 Thelonious Monk: Between the Devil and the Deep Blue Sea
05 Benny Goodman Orchestra: Between the Devil and the Deep Blue Sea
06 George Harrison: It’s Johnny’s Birthday
07 Cliff Richard: Congraturations
08 George Harrison: Bye Bye Love
09 The Everly Brothers: Bye Bye Love
10 George Harrison: True Love
11 Bing Crosby – Grace Kelly: True Love
12 Kitty Kallen: True Love
13 George Harrison: Baltimore Oriole
14 Hoagy Carmichael: Baltimore Oriole
15 George Harrison: Hong Kong Blues
16 Hoagy Carmichael: Hong Kong Blues
17 George Harrison: I Really Love You
18 The Stereos: I Really Love You
19 George Harrison: Got My Mind Set on You
20 James Ray with Hutch Davie Orch. & Chorus: I’ve Got My Mind Set on You
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