- ラジオのトップ・フォーティーを聴きながら
- US Top 40 Singles Week Ending 15th August, 1970
- The Temptations: Ball of Confusion (That’s What the World Is Today)
- Alive ‘N Kickin’: Tighter, Tighter
- Three Dog Night: Mama Told Me Not to Come
- Freda Payne: Band of Gold
- Edwin Starr: War
- Mungo Jerry: In the Summertime
- Eric Burdon and War: Spill the Wine
- Stevie Wonder: Signed, Sealed, Delivered I’m Yours
- Bread: Make It with You
- The Carpenters: (They Long to Be) Close to You
- おまけ
- US Top 40 関連 Playlist
- 村上春樹: 風の歌を聴け で流れる他の音楽たち
ラジオのトップ・フォーティーを聴きながら
僕はソファーにもう1度寝ころんで
―村上春樹,風の歌を聴け
ラジオのトップ・フォーティーを聴きながら10分ばかりぼんやりと天井を眺め、
そしてシャワーに入り熱い湯で丁寧に髭を剃ると、
クリーニングから戻ってきたばかりのシャツとバミューダ・ショーツを着た。
気持ちの良い夕方だった。
僕は海岸に沿って夕陽を見ながら車を走らせ、
国道に入る手前で冷えたワイン二本と煙草のカートン・ボックスを買った。
US Top 40 Singles Week Ending 15th August, 1970
ここに出てくる『ラジオのトップ・フォーティー』、
これって『American Top 40』のことなんだろうか?
1970年7月4日に3時間番組として放送を開始、
初代DJは『Voice of America』のケイシー・ケイサム。
日本でもFEN(Far East Nework)在日米軍ラジオ放送、
今のAFN(American Forces Network)で流れていたやつ。
放送時間は、
概ね毎週土曜日の13時から16時。
そうなると、
小指のない女の子の家にビーフ・シチューを食べに行ったのは土曜日ということになる。
1970年8月8日に始まり、
18日後の8月26日に終わる物語だとすればこの土曜日は8/15なんだろう。
この後で小指のない女の子は1週間ばかり消え、
帰ってきた時に『僕』はいつ東京に帰るのか訊かれて来週と答えているのだから。
ただ時系列でこの物語を追ってみると、
この日が土曜日ということはないはずなんだけどまあここはそういう場所ではない。
そんなわけで、
8/15のTop40のうち10-1位がどんな感じだったのか?を見てみよう。
The Temptations: Ball of Confusion (That’s What the World Is Today)
この日の10位は、
ザ・テンプテーションズの『Ball of Confusion (That’s What the World Is Today)』。
Track | Title | Written by |
A | Ball of Confusion (That’s What the World Is Today) | Whitfield, Strong |
B | It’s Summer | Whitfield, Strong |
書いたのはB面の『It’s Summer』と共に、
ノーマン・ホイットフィールドとバレット・ストロング。
Billboard Hot 100では、
最高位3位。
この曲、
バックのファンク・ブラザーズの演奏がなかなか良いのだ。
Cover by The Undisputed Truth
ファンク・ブラザーズは約11分に及ぶこの曲のバック・トラックを吹き込んだけど、
ここで実際に使われたのは僅か4分強だった。
ただバック・トラック全体はザ・アンディスピューテッド・トゥルース、
1971年のデビュー・アルバム『The Undisputed Truth』に収録されたカヴァーで陽の目を見ている。
Alive ‘N Kickin’: Tighter, Tighter
9位は、
One-hit wonder(一発屋)アライヴ・アンド・キッキンの『Tighter, Tighter』。
Track | Title | Written by |
A | Tighter, Tighter | Tommy James, Bob King |
B | Sunday Morning | B. Sudano, W. Wilson |
書いたのは、
トミー・ジェイムスとボブ・キング。
B面の『Sunday Morning』と共に、
1970年のセルフ・タイトル・アルバム『Alive ‘N Kickin’』の収録曲でもある。
Billboard Hot 100では、
最高位7位。
Three Dog Night: Mama Told Me Not to Come
8位は、
スリー・ドッグ・ナイトの『Mama Told Me Not to Come』。
Track | Title | Written by |
A | Mama Told Me (Not To Come) | R. Newman |
B | Rock & Roll Widow | Alsup, Greenspoon, Hutton, Negron, Scherme, Sneed, Wells |
B面のメンバーみんなで書いた『Rock & Roll Widow』と共に、
同じ1970年のアルバム『It Ain’t Easy』の収録曲。
ただ、
こちらはオリジナルではない。
Orignal by Eric Burdon & The Animals
書いたのは、
ランディ・ニューマン。
元々は、
1966年エリック・バードン&アニマルズ名義の『Eric Is Here』収録曲がオリジナル。
Cover by Randy Newman
ニューマン自身も、
1970年のアルバム『12 Songs』でセルフ・カヴァー。
でもヒットしたのは、
スリー・ドッグ・ナイトでBillboard Hot 100では1位になっている。
Freda Payne: Band of Gold
7位は、
フリーダ・ペインの『Band of Gold』。
Track | Title | Written by |
A | Band Of Gold | R. Dunbar, E. Wayne |
B | The Easiest Way To Fall | S. Layette, R. Dunbar, E. Wayne |
ホランド=ドジャー=ホランドと、
ロン・ダンバーがこの曲を書いている。
ただホランド=ドジャー=ホランドはモータウンとの訴訟に巻き込まれていたので、
エディス・ウェインという名前でクレジットされている。
Billboard Hot 100では、
最高位10位。
B面の『The Easiest Way To Fall』も同じで、
更にフリーダ・ペインの妹で後にシュープリームスに加入するシェリー・ラヴェット(ペイン)。
曲の中で聴こえるシタールっぽいギターはデニス・コフィー、
リード・ギターはレイ・パーカー・ジュニア。
Edwin Starr: War
6位は、
エドウィン・スターの『War』。
Track | Title | Written by |
A | War | N. Whitfield, B. Strong |
B | He Who Picks A Rose | Whitfield, Holland, Smiley |
ノーマン・ホイットフィールドと、
バレット・ストロングが書いた曲。
B面はホイットフィールドとエドワード・ホランド・ジュニア、
アール・スマイリーが書いた『He Who Picks A Rose』。
Orignal by The Temptations
この『War』は、
元々テンプテーションズ1970年のアルバム『Psychedelic Shack』に入っている曲。
ただいろいろと大人の事情で、
要望の多かったシングル・リリースは実現せず。
その代わりに、
エドウィン・スターが吹き込んでリリースして結局Billboard Hot 100で1位になっている。
Mungo Jerry: In the Summertime
5位は、
マンゴ・ジェリーの『In the Summertime』。
Track | Title | Written by |
A | In the Summertime | Ray Dorset |
B | Mighty Man | Ray Dorset |
B面の『Mighty Man』と共に、
リード・シンガーのレイ・ドーセットがタイメックス社の研究室で働きながら作詞・作曲したもの。
Billboard Hot 100では、
最高位3位。
Eric Burdon and War: Spill the Wine
4位は、
エリック・バードン&ウォーのデビュー・シングル『Spill the Wine』。
Track | Title | Written by |
A | Spill the Wine | War |
B | Magic Mountain | War, Goldstein |
曲は、
エリック・バードンとウォーのメンバー。
チャールズ・ミラー / ハワード・E・スコット / B・B・ディッカーソン / ロニー・ジョーダン、
ハロルド・レイ・ブラウン / トーマス・「パパ・ディー」・アレン / リー・オスカー。
Billboard Hot 100では、
最高位3位。
B面の『Magic Mountain』は、
更にプロデューサーのジェリー・ゴールドスタインの名前がクレジットされている。
イントロの感じが素晴らしいが、
気になるのは途中から聴こえてくる女性の声。
これはバートンの友人、
スペインの女性のものらしい。
Stevie Wonder: Signed, Sealed, Delivered I’m Yours
3位は、
スティーヴィー・ワンダー『Signed, Sealed, Delivered I’m Yours』。
Track | Title | Written by |
A | Signed, Sealed, Delivered I’m Yours | S. Wonder, L. Garrett, S. Wright, L. Hardaway |
B | I’m More Than Happy (I’m Satisfied) | H. Cosby, C. Grant, S. Moy, S. Wonder |
書いたのはスティーヴィー・ワンダー、
リー・ギャレット。
他に当時の恋人で後に結婚するシリータ・ライト、
彼の母親ルーラ・メイ・ハーダウェイも曲のクレジットに名を連ねている。
Billboard Hot 100では、
最高位3位。
B面の『I’m More Than Happy (I’m Satisfied)』はスティーヴィー・ワンダー、
ヘンリー・コスビー / シルヴィア・モイ / コーネリアス・グラント。
スティーヴィー・ワンダーが、
20歳にして初めてプロデュースした曲。
Bread: Make It with You
2位は、
ブレッド『Make It with You』。
Track | Title | Written by |
A | Make It with You | David Gates |
B | Why Do You Keep Me Waiting | James Griffin, Robb Royer |
書いたのはブレッドのリーダー、
デヴィッド・ゲイツ。
Billboard Hot 100では、
1位を獲得している。
B面の『Why Do You Keep Me Waiting』は他のメンバーの作品で、
ジェイムス・グリフィンとロブ・ロイヤーが書いている。
好んでは聴かないけど、
ラジオから流れてくる分には悪くない。
The Carpenters: (They Long to Be) Close to You
1位は、
カーペンターズ『 (They Long to Be) Close to You』。
Track | Title | Written by |
A | (They Long to Be) Close to You | Hal David, Burt Bacharach |
B | I Kept on Lovin’ You | Paul Williams, Roger Nichols |
書いたのは、
バート・バカラックとハル・デヴィッド。
Billboard Hot 100では、
1位を獲得している。
B面の『I Kept On Loving You』は、
ポール・ウィリアムズとロジャー・ニコルズ。
カレンではなく、
リチャードがヴォーカル。
Orignal by Richard Chamberlain
ただカーペンターズは、
オリジナルではない。
オリジナルは、
1963年リチャード・チェンバレン『They Long to Be Close to You』。
まあアレンジ含め、
断然カーペンターズの方が良い。
おまけ
最後がリチャード・チェンバレン『They Long to Be Close to You』っていうのも何なので、
Top10以外の曲を何曲か。
Ike And Tina Turner And The Ikettes: I Want To Take You Higher
37位は、
アイク&ティナ・ターナー&ジ・アイケッツ『I Want To Take You Higher』。
Track | Title | Written by |
A | I Want To Take You Higher | Sylvester Stewart |
B | Contact High | Ike Turner |
Billboard Hot 100では、
最高位34位。
書いたのは、
シルヴェスター・スチュアート(スライ・ストーン)。
B面の『Contact High』の方は、
アイク・ターナー。
この『I Want To Take You Higher』のオリジナルは、
もちろんスライ&ザ・ファミリー・ストーン。
1969年リリースの『Stand!』の収録曲で、
シングルにもなっている。
これの元は、
スライ&ザ・ファミリー・ストーン1967年『Dance to the Music』収録の『Higher』。
更にその元はビリー・プレストン、
1965年の『Wildest Organ in Town!』収録の『Advice』でストーンがプレストンと共作している。
The Who: Summertime Blues
27位は、
ザ・フーの『Summertime Blues』。
Track | Title | Written by |
A | Summertime Blues | Eddie Cochran, Jerry Capehart |
B | Heaven And Hell | John Entwhistle |
1970年、
ライヴ・アルバム『Live at Leeds』からのシングル・カット。
Billboard Hot 100では、
最高位34位。
B面はジョン・エントウィッスルが書いた『Heaven and Hell』で、
こちらはBBCセッション用に録音されたスタジオ・ヴァージョン。
『Summertime Blues』はもちろんカヴァーで、
オリジナルはエディ・コクラン1958年のシングル。
James Brown: Get Up I Feel Like Being Like A Sex Machine
15位は、
ジェームス・ブラウン『Get Up I Feel Like Being Like A Sex Machine』。
Track | Title | Written by |
A | Get Up I Feel Like Being Like A Sex Machine (Part 1) | J. Brown, B. Byrd, R. Lenhoff |
B | Get Up I Feel Like Being Like A Sex Machine (Part 2) | J. Brown, B. Byrd, R. Lenhoff |
Billboard Hot 100では、
最高位15位。
書いたのはジェームス・ブラウン、
ボビー・バード / ロン・レンホフ。
最後のほうで『Shake Your Moneymaker』って唄うのは、
エルモア・ジェイムズ1961年『Shake Your Moneymaker』のメイン・リフ。
US Top 40 関連 Playlist
最後に、
US Top 40のTop10とその関連曲のプレイリストを。
35曲、
1時間56分。
01 The Temptations: Ball of Confusion (That’s What the World Is Today)
02 The Temptations: It’s Summer
03 The Undisputed Truth: Ball of Confusion (That’s What the World Is Today)
04 Alive ‘N Kickin’: Tighter, Tighter
05 Alive ‘N Kickin’: Sunday Morning
06 Three Dog Night: Mama Told Me Not to Come
07 Three Dog Night: Rock & Roll Widow
08 Eric Burdon & The Animals: Mama Told Me Not to Come
09 Randy Newman: Mama Told Me Not to Come
10 Freda Payne: Band of Gold
11 Freda Payne: The Easiest Way To Fall
12 Edwin Starr: War
13 Edwin Starr: He Who Picks A Rose
14 The Temptations: War
15 Mungo Jerry: In the Summertime
16 Mungo Jerry: Mighty Man
17 Eric Burdon and War: Spill the Wine
18 Eric Burdon and War: Magic Mountain
19 Stevie Wonder: Signed, Sealed, Delivered I’m Yours
20 Stevie Wonder: I’m More Than Happy (I’m Satisfied)
21 Bread: Make It with You
22 Bread: Why Do You Keep Me Waiting
23 The Carpenters: (They Long to Be) Close to You
24 The Carpenters: I Kept On Loving You
25 Richard Chamberlain: They Long to Be Close to You
26 Ike And Tina Turner And The Ikettes: I Want To Take You Higher
27 Ike And Tina Turner And The Ikettes: Contact High
28 Sly and the Family Stone: I Want To Take You Higher
29 Sly and the Family Stone: Higher
30 Billy Preston: Advice
31 The Who: Summertime Blues
32 The Who: Heaven And Hell
33 Eddie Cochran: Summertime Blues
34 James Brown: Get Up I Feel Like Being Like A Sex Machine
35 Elmore James: Shake Your Moneymaker
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