In The Key Of Disney
村上RADIO 〜RUN&SONGS〜 で流れた音楽たち、
2曲目に流れたのはブライアン・ウィルソン。
2011年、
ディズニーの曲を集めたアルバム『In The Key Of Disney』の収録曲。
ウォルト・ディズニー・レコードから、
ディズニー・パール・シリーズとしてリリースされている。
このアルバムの前年にも、
同じパール・シリーズでウィルソンは『Brian Wilson Reimagines Gershwin』を出している。
こちらはタイトル通り、
ジョージとアイラ・ガーシュウィンの曲のカバー。
ラプソディ・イン・ブルーの一部で、
10曲のカヴァーが挟まれているもの。
更にウィルソンとスコット・ベネットが、
未完成のガーシュウィンの断片から完成させた2曲の新曲も入っている。
このアルバム、
かなり良いんだけどまあ今はディズニーだ。
Heigh-Ho
今回ラジオで流れたのは、
アルバムでは『Heigh-Ho / Whistle While You Work / Yo Ho (A Pirates Life For Me)』。
ただ順番通りに流れるわけではなくて、
かわるがわるに3曲が登場するメドレーになっている。
オリジナルは The Dwarfs Chorus
先ずは、
『Heigh-Ho』。
この曲は1937年公開(日本は1950年)世界初のカラー長編アニメーション映画、
『Snow White and the Seven Dwarfs(白雪姫)』の中で流れる。
7人の小人たちが、
映画の中で初めて登場して唄い出すのがこの曲。
ちなみに小人たちの名前はDoc(先生)・Grumpy(おこりんぼ)・Sneezy(くしゃみ)、
Sleepy(ねぼすけ)・Bashful(てれすけ)・Happy(ごきげん)の7人。
ただ、
いきなり『Heigh-Ho』ではない。
先ずは、
鉱山を掘りながら『Dig-A-Dig Dig』。
We dig dig dig dig dig dig dig in our mine the whole day through
―Frank Churchill,Larry Morey – Dig-A-Dig Dig
To dig dig dig dig dig dig dig is what we really like to do…
オレたちゃ掘って掘って掘りまくるのさ
鉱山の中で一日中
掘って掘って掘りまくる
オレたちゃ本当にそれが好きなのさ…
5時になると仕事はおしまい、
今度は『Heigh-Ho』の呼び声からマーチになる。
Hi ho, Hi ho
―Frank Churchill,Larry Morey – Hi ho
It’s home from work we go
ハイホー ハイホー
仕事から帰る時間だ…
世界初の商業的にリリースされたサウンド・トラック・アルバム、
1938年の『Songs From Walt Disney’s Snow White And The Seven Dwarfs』の収録曲。
歌は、
クレジットでは『The Dwarfs Chorus』となっている。
実際に唄っているのはロイ・アトウェル / ピント・コルヴィグ / ビリー・ギルバート、
オーティス・ハーラン / スコッティ・マットロウの5人で小人のように7人じゃあない。
作曲はフランク・チャーチル、
ラリー・モーリーの作詞。
Cover by Tom Waits
この曲のカヴァーは色々とあるけど、
やはり外せないのがトム・ウェイツ。
1988年リリース、
ディズニー映画のトリビュート・アルバムに提供されている。
アルバムは、
『Stay Awake: Various Interpretations of Music from Vintage Disney Films』。
このウェイツ・ヴァージョン、
オリジナルとは似ても似つかない。
まさに、
トム・ウェイツのオリジナルみたいになっている。
でも、
これが結構クセになるのだ。
Cover by Big Dee Irwin
あとは、
ビッグ・ディー・アーウィン1964年のシングルも悪くない。
クレジットには、
『Accompanied Directed By Bob Leaper with The Breakaways』とある。
ってことは、
一緒に唄っているはブレイクアウェイズなんだろうか(リトル・エヴァという話もあるけど)?
Cover by Los Lobos
ロス・ロボス、
2009年の『Los Lobos Goes Disney』の収録曲。
これはこれで、
なかなか楽しめる。
イントロの部分がどうしてもドリフのコントが終わった後、
場面替えで流れる曲を思い浮かべてしまう。
Whistle While You Work
この曲も、
フランク・チャーチルが作曲でラリー・モーリーが作詞。
オリジナルは Adriana Caselotti
同じく映画『Snow White and the Seven Dwarfs(白雪姫)』で流れていた曲で、
やはり『Songs From Walt Disney’s Snow White And The Seven Dwarfs』に入っている。
唄っているのは、
映画で白雪姫の声優アドリアナ・カセロッティ。
白雪姫が森の奥の小人の家に初めてやって来た時に、
家の汚さに動物達と一緒に掃除を始めようと歌い始める曲。
Just whistle while you work
―Frank Churchill,Larry Morey – Whistle While You Work
And cheerfully together we can tidy up the place
So hum a merry tune
It won’t take long
When there’s a song to help you set the pace…
口笛吹いて働くだけで
一緒に楽しくお掃除できるわ
さあ愉快な曲を口ずさんで
ペースを決めてくれる歌さえあればすぐに終わるわ…
Cover by Alvin & The Chipmunks
アルビンとチップマンクスは、
1958年ロス・バグダサリアンが創作したシマリスのキャラクター。
アルビンとサイモンとセオドア、
3人組。
最初のアルバムは、
1959年にリリースされた『Let’s All Sing with The Chipmunks』。
このアルバムに、
このカヴァーが入っている。
Cover by Artie Shaw & His New Music – Vocal Chorus Tony Pastor
オリジナルと同じ1938年のカヴァー、
アーティ・ショウ & ヒズ・ニュー・ミュージック。
ヴォーカルは、
トニー・パストール。
Cover by The Pete Jolly Trio
ウエスト・コースト・ジャズを代表するピアニスト、
ピート・ジョリー・トリオのカヴァーは1957年もの。
50年代、
RCAにリーダー・アルバムを数枚録音した中のラストを飾る一枚『When Lights Are Low』収録曲。
これ、
結構好きなんだよな。
Yo Ho (A Pirates Life For Me)
そして、
カリブの海賊で流れている『Yo Ho (A Pirates Life For Me)』。
オリジナルは Thurl Ravenscroft
この曲は、
1966年リリースのアルバム『Walt Disney’s Pirates Of The Caribbean』で初めて登場する。
サール・レイブンズクロフトが、
ナレーターとボーカル。
1940年代後半から1970年代半ばにかけて活躍した、
歌唱カルテットのメロメンが参加している。
曲を書いたのはジョージ・ブランズ、
ザビエル・アテンシオが作詞。
Yo ho, yo ho, a pirate’s life for me
―George Bruns・Xavier Atencio – Yo Ho(A Pirate’s Life for Me)
We pillage plunder, we rifle and loot
Drink up me ‘earties, yo ho
We kidnap and ravage and don’t give a hoot
Drink up me ‘earties, yo ho…
ヨー・ホー ヨー・ホー 海賊暮らしがオイラの暮らしさ
オレたちゃお宝を奪ってぶっぱなし荒らしまわるのさ
兄弟 呑みまくろうぜ ヨー・ホー
オレたちゃ誘拐に破壊におかまいなしさ
オイ兄弟 吞みまくろうぜ ヨー・ホー…
平和なディズニーランドのアトラクションで流れているのは、
実は結構物騒な歌詞の歌だったりするのだ。
Cover by 田畑美穂
そんなにこの曲のカバーはないんだけれど、
ちょっと面白いやつを発見した。
ここで唄っているのは、
田畑美穂という人なんだけど全くわからない。
けどなかなか素敵な声だし、
アレンジも悪くないし聴いていて単純に気持ち良い。
Cover by Buckethead
一時期ガンズ・アンド・ローゼズに参加していたバケットヘッド、
1994年のアルバム『Giant Robot – ジャイアント・ロボット~日本上陸G作戦』収録曲。
ちょっと『時計仕掛けのオレンジ』でながれる『第九』的な感じで、
こういう感じも悪くない。
Cover by Bruno Lawrence Raco
面白いアレンジのピアノ・ヴァージョンは、
ブルーノ・ローレンス・ラコ。
ディズニーの映画音楽をバレエクラス用にアレンジしたレッスンCD、
2023年の『Disney Villains Ballet Class』収録曲。
ショパンを意識したアレンジに聞こえたりもするんだど、
まあ気のせいだろう。
おまけ
ちなみにここに出てきた曲のうち2曲が流れている映画『白雪姫』の原作は、
グリム兄弟『Kinder- und Hausmärchen(グリム童話)』の中の『Schneewittchen』。
一般的に日本では『白雪姫』だけど、
実際のタイトル『Schneewittchen』は『雪のように白い子』という意味だそうだ。
このディズニー映画が製作されたのは1937年、
日本だと昭和12年。
ちょうど、
日中戦争があった年だ。
そんな頃、
アメリカではこんなスゴイ映画がつくられていたわけで。
何しろこの104分間の映画、
使われたセル画はなんと25万枚だそうだ。
750人のスタッフが1日15時間書き続けて、
4年もの月日を費やしたというんだからスゴイ。
つぎ込まれた資金は、
当時で170万ドルなんだから桁が違い過ぎる。
ちなみに大友克洋1988年の『AKIRA』、
こちらは総製作費10億円で製作スタッフ1,300人でセル画15万枚。
その50年以上前に、
こんな映画がつくられていたんだから世界は今より随分と広かったんだな。
Heigh-Ho / Whistle While You Work / Yo Ho (A Pirates Life For Me) 関連Playlist
というわけで番組で流れた『Madison Time』と、
流れなかったけど関連曲のプレイリストを最後に。
せっかくなので最初にちょっと出てきた、
ウィルソンの『Brian Wilson Reimagines Gershwin』の『Rhapsody in Blue』で始め締め括ろう。
15曲、
39分36秒。
01 Brian Wilson: Rhapsody in Blue/Intro
02 Brian Wilson: Heigh-Ho / Whistle While You Work / Yo Ho (A Pirates Life For Me)
03 The Dwarfs Chorus: Heigh-Ho
04 Tom Waits: Heigh-Ho
05 Big Dee Irwin: Heigh-Ho
06 Los Lobos: Heigh-Ho
07 Adriana Caselotti: Whistle While You Work
08 Alvin & The Chipmunks: Whistle While You Work
09 Artie Shaw & His New Music – Vocal Chorus Tony Pastor: Whistle While You Work
10 The Pete Jolly Trio: Whistle While You Work
11 The Mellomen feat. Thurl Ravenscroft: Yo Ho (A Pirates Life For Me)
12 Miho Tabata: Yo Ho (A Pirates Life For Me)
13 Buckethead: Yo Ho (A Pirates Life For Me)
14 Bruno Lawrence Raco: Yo Ho (A Pirates Life For Me)
15 Brian Wilson: Rhapsody in Blue/Reprise
Comment Feel Free