マービン・ゲイ

marvin-gaye

彼女は笑って、レコードをマービン・ゲイに替えた。

彼女は笑って、
レコードをマービン・ゲイに替えた。
時計は8時に近くを指している。
「今日は靴を磨かなくてもいいの?」
「夜中に磨くさ。歯と一緒にね。」

―村上春樹,風の歌を聴け

マービン・ゲイ、
マー『ヴィン』ではなくてマー『ビン』の表記なんだな。

1970年設定の物語だから、
アレコレ合わせれば20枚ほどのアルバムがあるはずだ。

直近のものだと考えると、
ソロなら1970年1月リリースの『That’s the Way Love Is』。

タミー・テレルとのデュエット・アルバムなら、
1969年の『Easy』。

コンピレーション・アルバムなら、
1969年の『Marvin Gaye and His Girls』。

Marvin Gaye: That’s the Way Love Is

それ以前だと…キリがないから、
ここは勝手に『That’s the Way Love Is』。

このアルバムは最後の『So Long』を除いて、
全てカヴァー曲。

TrackTitleWritten by
A1Gonna Give Her All The Love I’ve GotN. Whitfield, B. Strong
A2YesterdayLennon–McCartney
A3Groovin’Felix Cavaliere, Eddie Brigati
A4I Wish It Would RainN. Whitfield, B. Strong, R. Penzabene
A5That’s the Way Love IsN. Whitfield, B. Strong
A6How Can I ForgetN. Whitfield, B. Strong
B1Abraham, Martin and John Lennon-McCartney
B2I Love You, Alice B. ToklasElmer Bernstein, Paul Mazursky, Larry Tucker
B3There’s No Time Like TodayScoppettone, Templeman
B4All Through The NightJohn Petersen, Scoppettone, Templeman
B5Cotton Candy SandmanKenny Rankin
B6Leaving On A Jet PlaneJohn Denver
Label:Tamla Catalogue:TS 299 Date:October 1969

Gonna Give Her All The Love I’ve Got

そんなわけで、
1曲ずつオリジナルや関連曲と共に。

まずは、
1曲目の『Gonna Give Her All The Love I’ve Got』。

Orignal by Jimmy Ruffin

これはジミー・ラフィン、
1967年のシングルがオリジナル。

TrackTitleWritten by
AGonna Give Her All The Love I’ve GotB. Strong, N. Whitfield
BWorld So Wide, Nowhere To Hide (From Your Heart)J. Dean, Wm. Weatherspoon
Label:Soul Catalogue:S-35032 Date:23 Feb 1967

書いたのは、
ノーマン・ホイットフィールドとバレット・ストロング。

B面は『World So Wide, Nowhere To Hide (From Your Heart)』で、
ジェイムズ・アンソニー・ディーンとウィリアム・ウェザースプーンのコンビ。

Yesterday

これは、
数あるカヴァーの中でもかなり素晴らしい出来栄え。

Orignal by The Beatles

オリジナル、
もちろんザ・ビートルズ

1965年『Help!』の収録曲で、
アメリカではシングルでリリースされた後1966年『Yesterday and Today』に収録。

TrackTitleWritten by
AYesterdayLennon–McCartney
BAct NaturallyJohn Russell, Voni Morrison
Label:Capitol Catalogue:5498 Date:13 Sep 1965

書いたのはレノン=マッカートニー名義だけど、
実質ポールの曲。

このシングルのB面は、
ジョニー・ラッセルとヴォニ・モリソンが書いた『Act Naturally』でリンゴ・スターがヴォーカル。

Groovin’

ある意味、
オリジナルよりも良い感じのカヴァー。

Orignal by The Young Rascals

オリジナルは、
1967年リリースのザ・ヤング・ラスカルズ。

TrackTitleWritten by
AGroovin’Felix Cavaliere, Eddie Brigati
BSueñoFelix Cavaliere, Eddie Brigati
Label: Atlantic Catalogue:45-2401 Date:6 Apr 1967

書いたのは、
メンバーのフェリックス・カヴァリエールとエディ・ブリガティの2人。

B面の『Sueño』も同様、
カヴァリエールとブリガティ。

I Wish It Would Rain

こちらは、
ザ・テンプテーションズがオリジナル。

Orignal by The Temptations

1967年リリースのシングルで、
ノーマン・ホイットフィールドとバレット・ストロングとロジャー・ペンザベーンが書いたもの。

TrackTitleWritten by
AI Wish It Would RainN. Whitfield, B. Strong, R. Penzabene
BI Truly, Truly BelieveH. Gordy, A. Story, M. Johnson
Label: Atlantic Catalogue:45-2401 Date:6 Apr 1967

作詞のロジャー・ペンザベーンは、
妻が浮気をしていることを知ったばかりの時にこれを書いている。

そして、
シングル・リリースして1週間後に自殺してしまった。

B面『I Truly, Truly Believe』は、
アレン・ストーリーとジョージ・ゴーディとマーガレット・ジョンソンの作品。

That’s the Way Love Is

続いては、
アルバムタイトルにもなっている曲。

オリジナルは結構アップ・テンポでポップな仕上がりだけど、
ゲイのカヴァーはテンポを落としていてアレンジもかなり良い。

Orignal by The Isley Brothers

ザ・アイズレー・ブラザース、
1967年のシングル『That’s the Way Love Is』がオリジナル。

TrackTitleWritten by
AThat’s the Way Love IsN. Whitfield, B. Strong
BOne Too Many HeartachesIvy Hunter
Label: Tamla Catalogue:T-54154 Date:29 Jun 1967

書いたのは、
ホイットフィールドとストロング。

How Can I Forget

A面、
最後の曲。

Orignal by The Temptations

オリジナルは、
ザ・テンプテーションズ1968年のシングル。

TrackTitleWritten by
Alease Return Your Love To MeWhitfield, Strong, Neely
BHow Can I ForgetWhitfield, Strong
Label: Gordy Catalogue:G-7074 Date:16 Jul 1968

書いたのは、
ホイットフィールドとストロング。

A面はホイットフィールドとストロング、
バーバラ・ニーリーが書いた『Please Return Your Love To Me』でこちらはB面。

オリジナルもカヴァーも、
2分にも満たない短い曲。

Abraham, Martin and John

B面、
最初の曲。

Orignal by Dion

オリジナルは、
1968年ディオンのシングル。

TrackTitleWritten by
AAbraham, Martin and JohnHoller
BDaddy Rollin’(In Your Arms)Di Mucci, Fasce
Label: Laurie Catalogue:LR 3464 Date:Sep 1968

書いたのは、
ディック・ホラー。

暗殺されたエイブラハム・リンカーン / ジョン・F・ケネディ、
マーティン・ルーサー・キング・ジュニア / ロバート・F・ケネディを偲んで書かれたもの。

B面は、
ディオン・ディムッチとトニー・ファスの作品。

Gonna Keep On Tryin’ Till I Win Your Love

この曲のオリジナルは、
ザ・テンプテーションズ。

Orignal by The Temptations

1969年、
アルバム『Cloud Nine』の最後を飾る曲。

これは、
ある意味グループのキャリアにおける大きな転機となったアルバム。

書いたのは、
ホイットフィールドとストロング。

No Time for Tears

珍しく、
ガールズ・グループのカヴァー。

Orignal by The Marvelettes

オリジナルは、
ザ・マーヴェレッツ1965年のシングル。

エドワード・ホランド・ジュニアが書いた、
『No Time for Tears』。

TrackTitleWritten by
AI’ll Keep Holding OnStevenson, Hunter
BNo Time for TearsEddie Holland
Label: Tamla Catalogue:T-54116 Date:11 May 1965

アイビー・ジョー・ハンターとウィリアム・スティーブンソンが書いた、
A面『I’ll Keep Holding On』のB面。

Cloud Nine

これは先ほど出てきた、
ザ・テンプテーションズのアルバム『Cloud Nine』のタイトル曲のカヴァー。

Orignal by The Temptations

デヴィッド・ラフィンの代わりに、
デニス・エドワーズが参加した最初のシングル。

TrackTitleWritten by
ACloud NineN. Whitfield, B. Strong
BWhy Did She Have to Leave Me (Why Did She Have to Go)N. Whitfield, B. Strong
Label: Tamla Catalogue:T-54116 Date:11 May 1965

B面『Why Did She Have To Leave Me (Why Did She Have To Go)』と共に、
アルバム『Cloud Nine』収録されている。

書いたのは、
どちらもホイットフィールドとストロング。

Don’t You Miss Me a Little Bit Baby

最初の『Gonna Give Her All The Love I’ve Got』に続いて、
ジミー・ラフィンが再登場。

Orignal by Jimmy Ruffin

オリジナルは、
ラフィン1967年のシングル『Don’t You Miss Me a Little Bit Baby』。

TrackTitleWritten by
ADon’t You Miss Me a Little Bit BabyN. Whitfield, R. Penzabene, B. Strong
BI Want Her LoveE. Holland, N. Whitfield
Label: Soul Catalogue:S-35035 Date:29 Jun 1967

書いたのは、
ホイットフィールドとストロング。

作詞は、
ザ・テンプテーションズ『I Wish It Would Rain』でも出てきたペンザベーン。

B面は、
ホランドとホイットフィールドの作品。

So Long

この曲だけが、
カヴァーではない。

書いたのはホランドとホイットフィールドと共に、
リチャード・ディーン・テイラー。

おまけ

この後で彼女は細い肘の上に顎を載せたまま『僕』の目をのぞきこむようにして、
この間私に何もしなかったことを信じても良いと言う。

その理由を『僕』は聞くくせに、
女の子に「聞きたい?」と言われると即座に「いや」と答える。

本当は聞きたいんだけど、
「聞きたい?」なんて言われると天邪鬼だから「いや」と答えるのか?

関心なんてないけど、
一応聞いた方が良さそうな気がして聞いてみただけだから「いや」なのか?

実際何もしなかったのだから、
女の子がそう思う理由なんてどうでも良いから「いや」なのか?

そう思ってなければ食事に誘うわけもないから、
わざわざその理由まで聞くまでもないからの「いや」なのか?

この女の子はこういう答え方をすると、
きっと自分のことを段々好きになると考えての「いや」なのか?

まあ「いや」の答え方1つで、
いろいろと想像できる。

さて1984年4月1日の12時半頃、
ゲイは自宅で両親の喧嘩を仲裁した際に父マーヴィン・シニアと口論になる。

激昂した父は拳銃を至近距離からマーヴィン・ゲイに向けて発砲、
2発の弾がそれぞれ胸部と肩に命中してしまい病院に運ばれる前に亡くなってしまった。

この日は、
マーヴィンの45回目の誕生日の前日。

そして、
その拳銃はマーヴィン・ゲイが父親にプレゼントしたものだった。

あまりにも悲しいニュースには、
更に悲しいおまけが付いていたりするものなのだ。

マービン・ゲイ 関連 Playlist

最後に、
マービン・ゲイとその関連曲のプレイリストを。

33曲、
1時間31分。

01 Marvin Gaye: Gonna Give Her All The Love I’ve Got
02 Jimmy Ruffin: Gonna Give Her All The Love I’ve Got
03 Jimmy Ruffin: World So Wide, Nowhere To Hide (From Your Heart)
04 Marvin Gaye: Yesterday
05 The Beatles: Yesterday
06 The Beatles: Act Naturally
07 Marvin Gaye: Groovin’
08 The Young Rascals: Groovin’
09 The Young Rascals: Sueño
10 Marvin Gaye: I Wish It Would Rain
11 The Temptations: I Wish It Would Rain
12 The Temptations: I Truly, Truly Believe
13 Marvin Gaye: That’s the Way Love Is
14 The Isley Brothers: That’s the Way Love Is
15 The Isley Brothers: One Too Many Heartaches
16 Marvin Gaye: How Can I Forget
17 The Temptations: How Can I Forget
18 The Temptations: Please Return Your Love To Me
19 Marvin Gaye: Abraham, Martin and John
20 Dion: Abraham, Martin and John
21 Dion: Daddy Rollin’ (In Your Arms)
22 Marvin Gaye: Gonna Keep On Tryin’ Till I Win Your Love
23 The Temptations: Gonna Keep On Tryin’ Till I Win Your Love
25 Marvin Gaye: No Time for Tears
26 The Marvelettes: No Time for Tears
27 The Marvelettes: I’ll Keep Holding On
28 Marvin Gaye: Cloud Nine
29 The Temptations: Cloud Nine
30 The Temptations: Why Did She Have To Leave Me (Why Did She Have To Go)
31 Marvin Gaye: Don’t You Miss Me a Little Bit Baby
32 Jimmy Ruffin: Don’t You Miss Me a Little Bit Baby
33 Jimmy Ruffin: I Want Her Love

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