フール・ストップ・ザ・レイン

wholl-stop-the-rain

「フール・ストップ・ザ・レイン」、乗ってくれよ、ベイビー。

ところで今日の最高気温、
何度だと思う?
37度だぜ、
37度。
夏にしても暑すぎる。
これじゃあオーブンだ。
37度っていえば
一人でじっとしているより女の子と抱き合ってた方が涼しいくらいの温度だ。
信じられるかい?
オーケー、
おしゃべりはこれくらいにしよう。
どんどんレコードをかける。
クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル、
「フール・ストップ・ザ・レイン」、
乗ってくれよ、
ベイビー。

―村上春樹,風の歌を聴け

Creedence Clearwater Revival: Who’ll Stop The Rain

ラジオN.E.B『ポップス・テレフォン・リクエスト』、
ブルック・ベントンの『Rainy Night in Georgia』の次に流れるのがこの曲。

クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル、
1970年のアルバム『Cosmo’s Factor』収録の『Who’ll Stop The Rain』。

商業的にとんでもなく成功したアルバムで、
アルバム収録曲11曲中6曲をシングルとしてリリース。

その全てがBillboard Hot 100でトップ5にランクインしているんだから、
これはかなり強烈だ。

そして、
アルバムもBillboard200チャートで9週連続で1位を記録している。

この曲も『Travelin’ Band』と両A面で1番最初にリリースされて、
2位になっている。

TrackTitlePerformerWritten by
ATravelin’ BandCreedence Clearwater RevivalJohn Fogerty
BWho’ll Stop The RainCreedence Clearwater RevivalJohn Fogerty
Label:Fantasy Catalogue:637 Date:Jan 1970

書いたのは、
どちらももちろんジョン・フォガティ。

And I wonder, still I wonder
Who’ll stop the rain…

―John Fogerty: Who’ll stop the rain

どうしたらいいんだろう一体どうしたら
誰がこの雨を止めてくれるんだろう…

この曲は3番まであって、
1番は戦争はいつまで続くんだろう?と唄っている。

2番はニクソンの政策を皮肉って、
rainではなくてreign=支配とか統治の意味の方を唄っている。

3番は、
1番の反戦や2番の反ニクソンの象徴でもあるウッドストックのことを唄っている。

いずれにしても、
いくら『誰がこの雨を止めてくれるんだい?』と唄ったところでそんな『誰か』がいるはずもない。

いるわけがないんだけれど、
かといって自分たちではどうすることもできない。

止めることができるかもしれない奴らは、
結局止めることなんてしやしない。

わかっちゃあいるけれど、
それでも誰が止めるんだい?と執拗に働きかけている。

働きかけたところで、
世界は分断されているから結局は意味を持たない。

意味を持たないかもしれないけれど、
提示することで少しは何かが変わるかもしれない。

Cosmo’s Factor 他のシングル

この『Cosmo’s Factor』からリリースされた、
その後のシングルは2枚。

Up Around the Bend / Run Through the Jungle

TrackTitlePerformerWritten by
AUp Around the BendCreedence Clearwater RevivalJohn Fogerty
BRun Through the JungleCreedence Clearwater RevivalJohn Fogertyy
Label:Fantasy Catalogue:641 Date:Apr 1970

最初のシングル『Travelin’ Band / Who’ll Stop The Rain』に続いて、
シングル・カットされたのが『Up Around the Bend / Run Through the Jungle』。

Billboard Hot 100では、
最高位4位。

Lookin’ out My Back Door / Long As I Can See the Light

TrackTitlePerformerWritten by
ALookin’ out My Back DoorCreedence Clearwater RevivalJohn Fogerty
BLong As I Can See the LightCreedence Clearwater RevivalJohn Fogerty
Label:Fantasy Catalogue:648 Date:Jul 1970

3枚目は、
『Lookin’ out My Back Door / Long As I Can See the Light』。

Billboard Hot 100では、
最高位2位。

おまけ

実は、
最初にこの物語が『群像』に掲載された時はこの曲は違う曲だった。

最初はストーンズの『Brown Sugar』だった

TrackTitlePerformerWritten by
ABrown SugarRolling StonesJagger–Richards
BBitchRolling StonesJagger–Richards
Label:Rolling Stones Catalogue:RS-19100 Date:17 Apr 1971

最初は、
ストーンズ1971年の『Brown Sugar』だった。

B面は『Bitch』でシングル・リリースされて、
Billboard Hot 100では2週連続で1位になっている。

同年リリースのアルバム、
あの『Sticky Fingers』の収録曲でもある。

ただ『この物語は1970年の8月8日に始まり、18日後、つまり同じ年の8月26日に終わる』だから、
1971年のこの曲ではダメなのだ。

これって、
果たして単純なミスだったんだろうか?

そうかもしれないし、
時間の歪みを表す1つのヒントとしてこの曲だったという考え方もあるけど。

まあ、
正解はわからない。

Brown Sugar,
how come you taste so good Brown Sugar,
just like a young girl should, now,
yeah…

―Jagger–Richards: Brown Sugar

ブラウン・シュガー なんて良い具合なんだ
ブラウン・シュガー 若い女はこうでなくっちゃな…

曲は良いけど、
ちょっと歌詞はね…。

何しろ奴隷に関する歌詞で始まって、
黒人女性を性的対象とするような内容だからな。

セットリストから外すなんて話もあったけれど、
結局外されることになる。

キースは奴隷制の恐怖を唄った曲と言い、
ミックは現在なら絶対この曲は書かないしおそらく自己検閲するだろうと言う。

この辺のバンドとしてのバランス感覚が、
何とも面白い。

Who’ll Stop The Rain 関連 Playlist

最後は、
Who’ll Stop The Rainとその関連曲(と言えるかどうかは別にして)プレイリストで。

全8曲、
23分。

01 Creedence Clearwater Revival: Who’ll Stop The Rain
02 Creedence Clearwater Revival: Travelin’ Band
03 Creedence Clearwater Revival: Up Around the Bend
04 Creedence Clearwater Revival: Run Through the Jungle
05 Creedence Clearwater Revival: Lookin’ out My Back Door
06 Creedence Clearwater Revival: Long As I Can See the Light
07 The Rolling Stones: Brown Sugar
08 The Rolling Stones: Bitch

村上春樹: 風の歌を聴け で流れる他の音楽たち

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