ジョニー・アリディ / アダモ / ミッシェル・ポルナレフ

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何故ジューク・ボックスにジョニー・アリディのレコードが無いのか

コマーシャルが始まると、
何故ジューク・ボックスにジョニー・アリディのレコードが無いのか、
と僕に訊ねた。
「人気がないからさ。」と僕は言った。
「じゃあフランス人歌手では誰が人気ある?」
「アダモ。」
「ありゃベルギー人だ。」
「ミッシェル・ポルナレフ。」
「糞だ。」水兵はそう言うとテーブルに戻った。

―村上春樹,風の歌を聴け

ジョニー・アリディ

ジョニー・アリディは、
フランスの国民的歌手だった。

だからジューク・ボックスに彼のレコードがないなんて、
ジェイズ・バーにいたフランス人水兵は不思議に思ったんだろう。

シルヴィ・ヴァルタンの元夫で、
フランスのエルヴィスなんて呼ばれていた彼は2017年に亡くなっている。

その際には国葬レベルの警備の下で葬儀が行われ、
彼を偲ぶ数十万にも及ぶファンに見守られた。

それくらい、
フランスでは人気だったのだ。

でも日本では、
一般的にはあまり知られていない。

訊ねられた『僕』だって、
レコードがない理由を『人気がないから』と一蹴している。

ナショナル・ヒットは、
何かあったっけ?

元妻のバルタンにはあるけど、
この人のものはなかったはずだけど知らないだけなのかな?

正直、
フランス語のロックっていうのは苦手なのだ。

そもそもジューク・ボックスにジョニー・アリディのレコードは無いんだから、
物語で流れているわけでもない。

とはいえ、
何曲か。

Laisse les filles

1960年のデビューEPから、
ジョニー・アリデイとジル・エ・ジャンが書いた『Laisse les filles』。

初めてテレビに出演した時に唄った曲で、
この時のパフォーマンスで人気を得る。

Souvenirs, Souvenirs

更に同じ年、
次のEPの収録曲『Souvenirs, Souvenirs』は最初の大成功作になる。

この曲は元々バーバラ・エヴァンス、
1959年リリースの『Souvenirs』のカバー。

このあたりのレコードがあれば、
フランス水兵は満足したんだろうか?

Rivière… ouvre ton lit

1969年のアルバムに『Rivière… ouvre ton lit』というのがあるけど、
これは好み的には嫌ではない。

このアルバムの曲はミック・ジョーンズとトミー・ブラウン、
スティーブ・マリオットとロニー・レーンの曲で構成されていて皆演奏にも参加している。

他にも、
ピーター・フランプトンがギターを弾いていたりする。

例えばアルバム2曲目の『Voyage au pays des vivants』は、
ジョーンズとブラウンと作詞家のロング・クリスが共同で書いたもの。

ここでは、
マリオットとレーンが演奏に参加している。

3曲目の『Amen』は、
マリオットとレーンの曲。

ここでは、
フランプトンが参加。

ザ・スモール・フェイセス、
1967年の『From the Beginning』に入っている『That Man』でロング・クリスがフランス語の詞。

5曲目の『Réclamation』は、
マリオットの曲(このアルバムのクレジットだとレーンの名前もある)。

ここでも、
フランプトンが参加。

ハンブル・パイ、
1969年の『As Safe as Yesterday Is』の収録曲『Bang!』。

6曲目『Regarde pour moi』も同様、
このアルバム収録曲で『What You Will』。

ここもやはり、
フランプトンがギター参加。

アルバム最後の曲『Je suis né dans la rue』は、
2曲目『Voyage au pays des vivants』と同じパターン。

後にハンブル・パイでリリースされた2曲は、
当たり前だけどそちらの方が良い。

ただこのアリディは、
なかなか良い感じだ。

「じゃあフランス人歌手では誰が人気ある?」「アダモ。」

サルヴァトール・アダモは、
シチリアの生まれ。

Sans toi ma mie

幼少期にベルギーに移っていて、
確かに水兵の言う通りフランス人歌手じゃあない。

アダモといえば『Tombe la neige(雪は降る)』なんだろうけど、
ここはRCサクセションがカバーをした1962年の『Sans toi ma mie』。

Cover by RCサクセション

RCサクセションのカヴァーは、
1988年リリースの『COVERS』の収録曲。

この曲、
フジテレビ『やっぱり猫が好き』のエンディングに使われていた。

「ミッシェル・ポルナレフ。」「糞だ。」

フランス水夫に糞呼ばわりされてしまう、
ミッシェル・ポルナレフ。

La poupée qui fait non

デビュー曲は、
1966年リリースの『La poupée qui fait non(ノンノン人形)』。

ジミー・ペイジや、
ジョン・ポール・ジョーンズが参加しているらしい。

それを知る前と知った後では、
同じ曲が少し違って聴こえたりもする。

Cover by Cristina

ハーバード大学中退のクリスティーナ、
1980年のアルバム『Cristina』の収録曲。

プロデューサーは、
August Darnellってクレジットされているけど要はキッドクレオールなのだ。

ジョニー・アリディ / アダモ / ミッシェル・ポルナレフ 関連 Playlist

まあ実際に物語の中で流れていたわけではないけれど、
それでも出てきたアーティストの音楽と関連曲のプレイリスト。

15曲、
54分50秒。

01 Johnny Hallyday: Laisse les filles
02 Johnny Hallyday: Souvenirs, Souvenirs
03 Babara Evans: Souvenirs
04 Johnny Hallyday: Voyage au pays des vivants
05 Johnny Hallyday: Amen
06 The Small Faces: That Man
07 Johnny Hallyday: Réclamation
08 Humble Pie: Bang!
09 Johnny Hallyday: Regarde pour moi
10 Humble Pie: What You Will
11 Johnny Hallyday: Je suis né dans la rue
12 Salvatore Adamo: Sans toi ma mie
13 RC サクセション: サン・トワ・マミー
14 Michel Polnareff: La poupée qui fait non
15 Cristina: La poupée qui fait non

村上春樹: 風の歌を聴け で流れる他の音楽たち



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