モーツァルト

mozart

モーツァルトの肖像画が臆病な猫みたいに…

正面の壁からは
モーツァルトの肖像画が臆病な猫みたいにうらめし気に僕をにらんでいた。

―村上春樹,風の歌を聴け

この村上春樹【風の歌を聴け】で流れる音楽たちの3回目になっても、
まだ実際に出てきた音楽は1つもない。

今回も出てきたのも『モーツァルトの肖像画』であって、
どこにも『モーツァルトの音楽』のことは書かれていない。

でもまあモーツァルトは村上作品によく出てくる(かなりの頻度だ)し、
名前が出てくれば当然頭の中でいろいろなメロディが鳴り出すものなのだ。

モーツァルトの肖像画

臆病な猫みたいに、
うらめし気に睨んでくるモーツァルトの肖像画。

これで思い浮かべるのはオーストリアの画家、
バーバラ・クラフトが1812年に描いたやつだ。

モーツァルトが亡くなってから、
28年後に描かれた作品。

当時は写真なんてないから、
他のモーツァルトを描いたものを参考にしたんだろう。

例えば同じオーストリアの画家、
ヨハン・ネポムク・デラクローチェが1780年ころに描いたもの

これなんかを参考に、
描いたのかもしれない。

この絵では母アンナ・マリアは、
既に亡くなっていたので壁に掛けられた肖像画になっている。

父レオポルト・モーツァルトは、
ヴァイオリンを持っている。

そしてモーツァルトと、
姉のナンネルは鍵盤に手を添えて弾いているんだかいないんだか。

ただこの絵を見ると、
いつも『四手のためのピアノ・ソナタ』が頭の中を回り出す。

モーツァルト: 四手のためのピアノ・ソナタ
  • 四手のためのピアノソナタ ハ長調 K.19d
  • 四手のためのピアノソナタ 変ロ長調 K.358 (186c)
  • 四手のためのピアノソナタ ニ長調 K.381 (123a)
  • 四手のためのピアノソナタ ヘ長調 K.497
  • 四手のためのピアノソナタ ハ長調 K.521
  • 四手のためのピアノソナタ ト長調 K.357 (497a)

このモーツァルトの『四手のためのピアノ・ソナタ』は、
全部で6曲あってそのうちの1曲は未完に終わっている。

あちこの6曲の他にも『アンダンテと5つの変奏曲 ト長調 K.501』という、
フォルテピアノまたはハープシコードのための四手変奏曲がある。

せっかくなので、
全曲聴いていこう。

四手のためのピアノソナタ ハ長調 K.19d

モーツァルト: 四手のためのピアノソナタ ハ長調 K.19d

第1楽章 アレグロ ハ長調 2/2 ソナタ形式
第2楽章 メヌエット ハ長調 トリオ ヘ長調
第3楽章 ロンド:アレグレット ハ長調

この曲は、
1765年モーツァルト9歳の時の作品らしい。

ただ、
真作性に疑義のある作品とされている。

ピーターフランクルと、
タマーシュ・ヴァーシャリの連弾で。

四手のためのピアノソナタ 変ロ長調 K.358 (186c)

モーツァルト: 四手のためのピアノソナタ 変ロ長調 K.358 (186c)

第1楽章 アレグロ 変ロ長調 4/4 ソナタ形式
第2楽章 アダージョ 変ホ長調 3/4 ソナタ形式
第3楽章 ロンド:アレグレット ハ長調

この曲は、
1774年モーツァルト18歳の時にザルツブルクで作曲したもの。

クリストフエッシェンバッハと、
ユストゥス・フランツの連弾で。

四手のためのピアノソナタ ニ長調 K.381 (123a)

モーツァルト: 四手のためのピアノソナタ ニ長調 K.381 (123a)

第1楽章 アレグロ ニ長調 4/4 ソナタ形式
第2楽章 アダージョ ト長調 3/4 ソナタ形式
第3楽章 モルト・プレスト ニ長調 2/4 ソナタ形式

この曲は、
1772年モーツァルト16歳の時にザルツブルクで作曲したもの。

マルタ・アルゲリッチと、
アレクサンドル・ラビノヴィチの連弾で。

四手のためのピアノソナタ ヘ長調 K.497

モーツァルト: 四手のためのピアノソナタ ヘ長調 K.497

第1楽章 アダージョ-アレグロ・ディ・モルト ニ長調 ヘ長調 ソナタ形式
第2楽章 アンダンテ 変ロ長調 ソナタ形式
第3楽章 アレグロ ヘ長調 ロンド形式

この曲は、
1786年モーツァルト30歳の時にウィーンで作曲したもの。

イングリット・ヘブラーと、
ルートヴィヒ・ホフマンの連弾で。

四手のためのピアノソナタ ハ長調 K.521

モーツァルト: 四手のためのピアノソナタ ハ長調 K.521

第1楽章 アレグロ ハ長調 4/4 ソナタ形式
第2楽章 アンダンテ ヘ長調 3/4 三部形式
第3楽章 アレグレット ハ長調 2/4 ロンド形式

この曲は、
1787年モーツァルト31歳の時にウィーンで作曲したもの。

イェルク・デムスと、
パウル・バドゥラ=スコダの連弾で。

四手のためのピアノソナタ ト長調 K.357 (497a)

モーツァルト: 四手のためのピアノソナタ ト長調 K.357 (497a)

第1楽章 アレグロ ト長調 3/4 (497a)
第2楽章 アンダンテ ト長調 2/4 (500a)

この曲は、
1786年モーツァルト30歳の時にウィーンで作曲したもので未完の作品。

再びヘブラーと、
ホフマンの連弾で。

アンダンテと5つの変奏曲 ト長調 K.501

この曲は、
1786年モーツァルト30歳の時にウィーンで作曲したもの。

最初は二台のピアノのためのものとして着想されたみたいだけど、
結局は四手のための曲になっている。

こちらも再びアルゲリッチと、
ラビノヴィチの連弾で。

おまけ

今回はモーツァルトの『四手のためのピアノソナタ』6曲を全部聴いてみたわけだけど、
こうやってある作曲家のあるジャンルを全曲通して聴くのも悪くない。

更に同じ曲を違う演奏で聴くのもまた楽しいわけで、
そうなると時間がいくらあっても足りない。

自分の好みを知り尽くしていて、
コレ!というものを曲を選んだら即提示してくれるものがあると良いんだけど。

AIと音楽

まあ今でもAIがユーザーの好みや再生履歴を分析して、
最適な音楽を提案するなんてことはできているからな。

でも、
あれこれと聴いて好みのものを見つけるのは楽しかったりするわけで。

そういえば、
今じゃあAIが作曲した曲っていうのがいろいろ出てきている。

Daddy’s Car

その中に1曲、
興味深いものがあった。

AIが、
ビートルズのスタイルを学習して作曲した『Daddy’s Car』って曲だ。

これが、
意外に面白い。

でも、
やはりビートルズの曲にはなっていないな。

何となく、
ニヤッとする箇所もあるけどやはり違う。

でも、
いずれは違うなとはならない精度の高いレベルになっていくんだろうか?

それはそれで面白いけど、
そう簡単ではないだろう。

とはいえ、
楽しみではある。

モーツァルト: 四手のためのピアノソナタ 関連 Playlist

最後は、
モーツァルト: 四手のためのピアノソナタ 関連 プレイリストで。

15曲(7曲)、
1時間28分。

01 モーツァルト: 四手のためのピアノソナタ ハ長調 K.19d 第1楽章
02 モーツァルト: 四手のためのピアノソナタ ハ長調 K.19d 第2楽章
03 モーツァルト: 四手のためのピアノソナタ ハ長調 K.19d 第3楽章
  ピアノ: ピーター・フランクル / タマーシュ・ヴァーシャリ
04 モーツァルト: 四手のためのピアノソナタ 変ロ長調 K.358 (186c) 第1楽章
05 モーツァルト: 四手のためのピアノソナタ 変ロ長調 K.358 (186c) 第2楽章
06 モーツァルト: 四手のためのピアノソナタ 変ロ長調 K.358 (186c) 第3楽章 
  ピアノ: クリストフエッシェンバッハ / ユストゥス・フランツ
07 モーツァルト: 四手のためのピアノソナタ ニ長調 K.381 (123a) 第1楽章
08 モーツァルト: 四手のためのピアノソナタ ニ長調 K.381 (123a) 第2楽章
09 モーツァルト: 四手のためのピアノソナタ ニ長調 K.381 (123a) 第3楽章
  ピアノ: マルタ・アルゲリッチ / アレクサンドル・ラビノヴィチ
10 モーツァルト: 四手のためのピアノソナタ ヘ長調 K.497 第1楽章
11 モーツァルト: 四手のためのピアノソナタ ヘ長調 K.497 第2楽章
12 モーツァルト: 四手のためのピアノソナタ ヘ長調 K.497 第3楽章
  ピアノ: イングリット・ヘブラー / ルートヴィヒ・ホフマン
13 モーツァルト: 四手のためのピアノソナタ ハ長調 K.521 第1楽章
14 モーツァルト: 四手のためのピアノソナタ ハ長調 K.521 第2楽章
15 モーツァルト: 四手のためのピアノソナタ ハ長調 K.521 第3楽章
  ピアノ: イェネヤンドー / ジュジャ・コッラール
16 モーツァルト: 四手のためのピアノソナタ ト長調 K.357 (497a) 第1楽章
17 モーツァルト: 四手のためのピアノソナタ ト長調 K.357 (497a) 第2楽章
  ピアノ: イングリット・ヘブラー / ルートヴィヒ・ホフマン
18 アンダンテと5つの変奏曲 ト長調 K.501
  ピアノ: マルタ・アルゲリッチ / アレクサンドル・ラビノヴィチ

村上春樹: 風の歌を聴け で流れる他の音楽たち

Comment Feel Free

タイトルとURLをコピーしました