「ルート66」の再放送を眺めながらそう答えた。
僕はカウンターの中にある
―村上春樹: 風の歌を聴け
ポータブル・テレビの「ルート66」の再放送を眺めながらそう答えた。
ここで出てくる『ルート66』は、
アメリカのCBSで1960年から1964年まで放映されていたTVドラマ。
シボレー・コルベットのオープン・カーでアメリカを横断する2人の若者が、
旅の中で遭ったさまざまな出来事を描いたものだ。
若者の1人は裕福な家に生まれたトッド、
そして労働者階級のバズ(後にベトナム戦争陸軍退役軍人リンク・ケースに交替)。
ジェイズ・バーのポータブル・テレビで流れていたのはドラマの再放送だけど、
オープニングでは主題曲が流れたはずだ。
だからこのドラマのテーマ音楽は、
ある意味この物語で流れた音楽と言っても良いだろう。
Nelson Riddle: Route 66 Theme
Track | Title | Written by |
A | Route 66 Theme | Nelson Riddle |
B | Lolita Ya Ya | Nelson Riddle |
この主題曲はB面キューブリック監督1962年『Lolita』のための『Lolita Ya Ya』と共に、
シングルのA面でリリース。
書いたのは、
どちらもネルソン・リドル。
あっちの『Route 66』じゃあない
それで、
このドラマのオープニングで流れるのは『The Theme from Route 66』。
普通『Route 66』とくれば、
最初に思い浮かぶのはボビー・トゥループが書いた『Route 66』なんだけどアレとは別の曲。
あちらは『(Get Your Kicks on) Route 66』だし、
オリジナルは1946年のザ・キング・コール・トリオ。
ジャック・シーガルとジェリー・マーロウが書いた、
B面『Everyone Is Sayin’ Hello Again (Why Must We Say Goodbye)』と共にA面でリリース。
Track | Title | Written by |
A | (Get Your Kicks On) Route 66 | Bob Troup |
B | Everyone Is Sayin’ Hello Again (Why Must We Say Goodbye) | Marlowe, Segal |
こっちはリドルが書いた、
ドラマ用のオリジナル曲。
1960年からドラマのオープニングで流れていたけど。
リリースされたのは2年後の1962年のこと。
Route 66 Theme Covers
なので、
本家リリースの前にいくつかのカヴァーが出ている。
ただ、
特別そんなに良いなと言うものはない。
Teri Thornton: Open Highway (Route 66 Theme)
本家リリース後のものでは、
テリー・ソーントンのカヴァーがかなり良い。
これは、
1963年『Teri Thornton Sings Open Highway (The Theme From “Route 66”)』の収録曲。
タイトルは、
ちょっと違っていて『Open Highway (Route 66 Theme)』。
このヴォーカル・バージョンは、
スタンリー・スタインが歌詞を付けたもの。
編曲はラリー・ウィルコックスで、
オーケストラの指揮も担当。
そして、
ビリー・スコットがピアノを弾いている。
Reverend Organdrum
レヴァレンド・オルガンドラムのカヴァーは、
2007年『Hi-Fi Stereo』に収録されている。
このバンドはザ・レヴァレンド・ホートン・ヒートのジム・ヒースが、
B-3オルガンのティム・アレクサンダーとドラムズのトッド・ソエスビーと組んだもの。
2007年にもなってこの感じ、
というのが逆に面白い。
それにしても、
ハモンドオルガンの音ってやはり気持ち良い。
おまけ
この『Route 66 Theme』は、
1962年リドルのアルバム『Route 66 Theme and Other Great TV Themes』の収録曲でもある。
Route 66 Theme and Other Great TV Themes
このアルバム、
別にリドルが書いた曲だけが収められているわけではない。
オリジナルはこの曲以外だと、
『The Untouchables』と『Theme From “Sam Benedict”』くらい。
あとは他の人が書いた、
TVドラマのテーマ曲。
このアルバムは、
第5回グラミー賞最優秀器楽テーマ賞とグラミー賞最優秀器楽編曲賞にノミネートされている。
第5回グラミー賞最優秀器楽テーマ賞
ただ、
どちらもノミネート止まりで受賞はしていない。
ちなみに、
この時グラミー賞最優秀器楽テーマ賞でノミネートされた曲は6曲。
Composer(s) | Work | Performing artist(s) |
Bobby Scott & Ric Marlow | A Taste of Honey | Eddie Cano |
Elmer Bernstein & Mack David | Walk on the Wild Side | Brook Benton |
David Rose | The Stripper | David Rose & His Orchestra |
Acker Bilk | Stranger on the Shore | Mr. Acker Bilk |
Nelson Riddle | Theme of Route 66 | Nelson Riddle & His Orchestra |
Henry Mancini | Baby Elephant Walk | Henry Mancini & His Orchestra |
Eddie Cano: A Taste of Honey
そして最優秀器楽テーマ賞をこの年受賞したのは、
ボビー・スコットとリック・マーロウが買いたエディ・カノの『A Taste of Honey』。
1962年5月、
カノとメヒアが書いた『Panchita』のB面でリリースされている。
Track | Title | Written by |
A | Panchita | Cano, Mejia |
B | A Taste of Honey | Scott, Marlow |
元々は1958年イギリスで上演された演劇『A Taste of Honey』、
1960年ブロードウェイ版のために書かれたインストゥルメンタル。
オリジナルは、
ボビー・スコット1960年のアルバム『A Taste Of Honey』に3ヴァージョン収録されている。
Brook Benton: Walk On The Wild Side
ブルック・ベントンの『Walk On The Wild Side』は、
1962年2月にB面『Somewhere In The Used To Be』と共にリリース。
どちらも、
マック・デイヴィッドとエルマー・バーンスタインが書いたもの。
Track | Title | Written by |
A | Walk On The Wild Side | Mack David, Elmer Bernstein |
B | Somewhere In The Used To Be | Mack David, Elmer Bernstein |
1962年の同名の映画の主題歌で、
映画の終盤とエンドロールで流れる。
そんなわけで、
この曲はアカデミー賞主題歌賞にもノミネートされている。
David Rose And His Orchestra: The Stripper
デヴィッド・ローズ楽団の『The Stripper』は、
デヴィッド・ローズが書いたインストゥルメンタルで元々1958年に吹き込まれていたもの。
カール・シグマンとロバート・マクスウェルが、
1953年に書いた『Ebb Tide』と共にリリース。
Track | Title | Written by |
A | The Stripper | Rose |
B | Ebb Tide | Maxwell |
Billboard Hot 100では1位を獲得、
Billboard Year-End Hot 100 singles of 1962 では5位になっている。
Mr. Acker Bilk With The Leon Young Chorale: Stranger On The Shore
アッカー・ビルク・ウィズ・ザ・レオン・ヤング・コーラルの『Stranger On The Shore』は、
ビルク自身とロバート・メリンが書いたもの。
B面『Cielito Lindo』と共に、
A面でリリース。
元々のタイトルは『Jenny』で、
ビルクの子供の名前だったらしい。
Track | Title | Written by |
A | Stranger On The Shore | Bilk, Young |
B | Cielito Lindo | Bilk, Young |
Billboard Hot 100では1位を獲得、
Billboard Year-End Hot 100 singles of 1962 でも1位になっている。
Henry Mancini: Baby Elephant Walk
ヘンリー・マンシーニの『Baby Elephant Walk』は、
1962年公開のハワード・ホークス監督の映画『Hatari!』のために書かれた曲。
映画の中では、
ダラス(エルザ・マルティネッリ)が3頭の子象を水場に連れて行き水浴びさせるシーンで流れていた。
ちなみにハタリは、
危ないという意味のスワヒリ語。
このマンシーニのヴァージョンは、
シングルにはならなかった。
第5回グラミー賞最優秀器楽編曲賞
そして、
グラミー賞最優秀器楽編曲賞ノミネートはこんな感じ。
Composer(s) | Work | Performing artist(s) |
Henry Mancini | Baby Elephant Walk | Henry Mancini & His Orchestra |
David Rose | The Stripper | David Rose & His Orchestra |
Robert Farnon | The Sensuous Strings Of Robert Farnon | Robert Farnon & His Orchestra |
Nelson Riddle | Route 66 Theme and Other Great TV Themes | Nelson Riddle & His Orchestra |
Quincy Jones | The Quintessence | Quincy Jones |
Eddie Sauter | Focus | Stan Getz |
Joe Harnell | Fly Me to the Moon Bossa Nova | Joe Harnell & His Orchestra |
最優秀器楽編曲賞に輝いたのは、
最優秀器楽テーマ賞にもノミネートされていたヘンリー・マンシーニの『Baby Elephant Walk』。
Robert Farnon: The Sensuous Strings Of Robert Farnon
ロバート・ファーノン、
アルバム『Sensuous Strings of Robert Farnon』。
正直苦手な感じだけど、
ただ流れている分には気にならない。
Quincy Jones And His Orchestra: The Quintessence
クインシー・ジョーンズ、
インパルスから唯一リリースしたアルバム『The Quintessence』。
このアルバムで、
ジョーンズのオリジナルは3曲。
Stan Getz / Eddie Sauter – Focus
スタン・ゲッツが、
エディ・ソーターに依頼した組曲が収録されているアルバム『Focus』。
不思議なアルバムというか、
素晴らしいアルバムというかなんといって良いかわからないけど良い。
Joe Harnell His Piano And Orchestra: Fly Me To The Moon And The Bossa Nova Pops
ジョー・ハーネル、
アルバム『Fly Me To The Moon And The Bossa Nova Pops』。
なかなか面白いけど、
まあ普通は聴かない。
Route 66 Theme 関連 Playlist
それでは最後に、
Route 66 Theme 関連のプレイリストを。
30曲、
1時間40分。
01 Nelson Riddle: Route 66 Theme
02 Nelson Riddle: Lolita Ya Ya
03 The King Cole Trio: (Get Your Kicks On) Route 66
04 The King Cole Trio: Everyone Is Sayin’ Hello Again (Why Must We Say Goodbye)
05 Teri Thornton: Open Highway (Route 66 Theme)
06 Reverend Organdrum: Theme To Route 66
07 Nelson Riddle: The Untouchables
08 Nelson Riddle: Theme From “Sam Benedict”
09 Eddie Cano: A Taste of Honey
10 Eddie Cano: Panchita
11 Bobby Scott: A Taste of Honey
12 Bobby Scott: A Taste of Honey(Refrain)
13 Bobby Scott: A Taste of Honey(Closing Theme)
14 Brook Benton: Walk on the Wild Side
15 Brook Benton: Somewhere In The Used To Be
16 David Rose & His Orchestra: The Stripper
17 David Rose & His Orchestra: Ebb Tide
18 Mr. Acker Bilk With The Leon Young Chorale: Stranger On The Shore
19 Mr. Acker Bilk With The Leon Young Chorale: Cielito Lindo
20 Henry Mancini & His OrchestraBaby Elephant Walk
21 Robert Farnon: Alone Together
22 Quincy Jones: For Lena and Late
23 Stan Getz: I’m Late,I’m Late
24 Stan Getz: Her
25 Stan Getz: Pan
26 Stan Getz: I Remember When
27 Stan Getz: Night Rider
28 Stan Getz: Once Upon A Time
29 Stan Getz: A Summer Afternoon
30 Joe Harnell & His Orchestra: Fly Me to the Moon
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