リクエスト曲はビーチ・ボーイズの<カリフォルニア・ガールズ>
「実はね、
―村上春樹,風の歌を聴け
君にリクエスト曲をプレゼントした女の子が……ムッ……いるわけなんだ。
誰だかわかるかい?」
「いいえ。」
「リクエスト曲はビーチ・ボーイズの<カリフォルニア・ガールズ>、
懐かしい曲だね。
どうだい、
これで見当はついた?」……
電話のベルが鳴ったのは7時15分、
NEBのDJからだ。
―村上春樹,風の歌を聴け
……「カリフォルニア・ガールズ……ビーチ・ボーイズ……、
どう思い出した?」
「そういえば5年ばかり前に
クラスの女の子にそんなレコードを借りたことがあるな。」
「どんな女の子?」
「修学旅行の時に落としたコンタクト・レンズを捜してあげて、
そのお礼にレコードを貸してくれたんだ。」
5年ばかり前に修学旅行の時に落としたコンタクト・レンズを捜してあげて、
そのお礼にクラスの女の子が貸してくれたレコード。
The Beach Boys: California Girls
Track | Title | Performer | Written by |
A | California Girls | The Beach Boys | Brian Wilson |
B | Let Him Run Wild | The Beach Boys | Brian Wilson |
ビーチ・ボーイズの『California Girls』のレコードは、
アルバムだろうか?シングルだろうか?
アルバムなら、
1965年リリースのアルバム『Summer Days (and Summer Nights!!)』だろう。
シングルなら、
アルバムのリード・トラックとしてリリースされたものだろう。
B面の『Let Him Run Wild』と共にシングル・カットされてBillboard Hot 100では3位、
UK Singles Chartでは26位になっている。
作詞・作曲は、
ブライアン・ウィルソンとマイク・ラヴ。
最初のクレジットは、
ウィルソンだけだったけれどあとからラヴが追加されている。
Well, East Coast girls are hip
―Brian Wilson, Mike Love: California Girls
I really dig those styles they wear
And the Southern girls with the way they talk
They knock me out when I’m down there
The Midwest farmer’s daughters
Really make you feel alright
And the Northern girls with the way they kiss
They keep their boyfriends warm at night…
この物語の中では、
村上春樹訳詞の歌詞が登場する。
イースト・コートの娘はイカしてる。
―村上春樹,風の歌を聴け
ファッションだって御機嫌さ。
南部の女の子の歩き方、しゃべり方、
うん、ノックダウンだね。
中西部のやさしい田舎娘、
ハートにぐっときちゃうのさ。
北部のかわいい女の子、
君をうっとり暖めてくれる。
素敵な女の子がみんな、
カリフォルニア・ガールならね…。
バッハ: 心と口と行いと生活で BWV147
この曲はバッハの教会カンタータ『Herz und Mund und Tat und Leben』、
第1部・2部それぞれの終曲のコラールのリズムからインスピレーションを得ているらしい。
これは、
1723年に主の母マリア訪問の祝日のために作曲したと推測される教会カンタータ。
全10曲から成っていて、
このコーラルはかなり有名で題名や作曲者を知らなくてもどこかで耳にしたことがあるはずだ。
The Drifters: On Broadway
ウィルソンは、
この曲をザ・ドリフターズの『On Broadway』の雰囲気を凝縮したものだとも言っている。
この曲はバリー・マンとシンシア・ワイルが、
ジェリー・リーバーとマイク・ストーラーのチームと共同で書いた曲。
Track | Title | Performer | Written by |
A | On Broadway | The Drifters | Weil, Mann, Leiber, Stoller |
B | Let The Music Play | The Drifters | Bacharach, David |
1963年にB面の『Let the Music Play』と共にリリースされ、
Billboard Hot 100では4位になっている。
George Benson: On Broadway
1978年に、
ジョージ・ベンソンがこの曲をB面の『We As Love』と共にリリース。
Track | Title | Performer | Written by |
A | On Broadway | George Benson | Weil, Mann, Leiber, Stoller |
B | We As Love | George Benson | Ronnie Foster |
ライヴ・アルバム『Weekend in L.A.』からのシングル・カットで、
Billboard Hot 100で7位になっている。
このヴァージョンは1979年の映画『All That Jazz』の中、
ミュージカルのオーディションを受けるダンサーたちが登場するシーンで使われていたのが印象的。
Cover by David Lee Roth
それで、
この『California Girls』のカヴァーといえばやはりデイヴィッド・リー・ロス。
1984年にリリースした、
EP『Crazy from the Heat』の収録曲。
カール・ウィルソンと、
クリストファー・クロスがバック・コーラスで参加している。
Billboard Hot 100では、
ビーチ・ボーイズと同じ3位。
Track | Title | Performer | Written by |
A | Easy Street | David Lee Roth | Dan Hartman |
B | Just A Gigolo / I Ain’t Got Nobody | David Lee Roth | L.Casucci, I.Caesar, S.Williams, R.Graham |
C | California Girls | David Lee Roth | Brian Wilson, Mike Love |
D | Coconut Grove | David Lee Roth | John Sebastian, Zal Yanovsky |
4曲のうちの1曲『Easy Street』は、
エドガー・ウィンター・グループ1974年の曲のカヴァー。
メドレーの『Just A Gigolo』は1924年ジュリアス・ブラマーが書いた歌詞に基づいて、
1928年レオネッロ・カスッチが作曲した『Schöner Gigolo, armer Gigolo』。
これを、
アーヴィング・シーザーが1929年に英語に翻訳したもの。
メドレーのもう1曲の方『I Ain’t Got Nobody』は、
1956年にルイ・プリマが初めて吹き込んだもので書いたのは諸説あり。
一応デイビー・ペイトンとスペンサー・ウィリアムズ作曲、
作詞は出版者のロジャー・グラハムに今はなっているのかな?
この2曲はこのプリマの時から、
メドレーで唄われている。
最後の『Coconut Grove』は、
ラヴィン・スプーンフル1966年の『Hums of the Lovin’ Spoonful』収録曲。
書いたのは、
ジョン・セバスチャンとザル・ヤノフスキー。
おまけ
この物語の場面は土曜の夜7時から始まる2時間番組『ポップス・テレフォン・リクエスト』のDJから、『僕』に電話が掛ってきたところ。
電話のベルが鳴ったのは、
7時15分。
この時代のコンタクト・レンズは、
数万円はするハード・コンタクトのはず。
使い捨てコンタクトなんてなかった時代だから、
探してあげればお礼くらいされる代物ではある。
だからそのお礼にレコードくらい貸すのは、
まああり得ない話ではない。
そのお礼にレコードを貸してくれた女の子の名前は思い出されたみたいけれど、
具体的な名前は出てこない。
そして『僕』はDJとの会話で、
何年かぶりに突然腹が立ち始めたらしい。
『動物が好きなのは笑わないところ』、
『ほう、動物は笑わない?』みたいな会話で腹が立つんだろうか?
まあ人それぞれ、
腹が立つ地雷はいろいろだ。
California Girls 関連 Playlist
最後は、
California Girlsとその関連曲のプレイリストで。
全15曲、
1時間1分。
01 The Beach Boys: California Girls
02 The Beach Boys: Let Him Run Wild
03 J.S.バッハ: 心と口と行いと生活で BWV147 第6曲
コラール合唱「イエスはわたしのもの」
04 J.S.バッハ: 心と口と行いと生活で BWV147 第10曲
コラール合唱「イエスは変わらざるわが喜び」
デイヴィッド・ウィルコックス卿
アカデミー室内管弦楽団
ケンブリッジのキングス・カレッジ合唱団
05 The Drifters: On Broadway
06 The Drifters: Let the Music Play
07 George Benson: On Broadway
08 George Benson: We As Love
09 David Lee Roth: California Girls
10 David Lee Roth: Easy Street
11 Edgar Winter Group: Easy Street
12 David Lee Roth: Just A Gigolo / I Ain’t Got Nobody
13 Louis Prima: Just A Gigolo / I Ain’t Got Nobody
14 David Lee Roth: Coconut Grove
15 The Lovin’ Spoonful: Coconut Grove
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